【完】恋愛距離*.゜ーボクラノキョリー
そこには、パタパタと小走りをする沢森が居た。
沢森は俺に気付くと小走りを止めて、俺を見た。
「こんばんは。部活だったんですか?」
「まあそんなとこ。……そっちは?」
ちら、と沢森を見ると、手に持っているのはスケッチブックと……絵の具?
すると沢森は困ったように笑った。
「美術の作品の提出期限、今日までなので。今までずっとやってたんです」
あー、確かそうだったっけ。
美術とかどうでも良さ過ぎて、すごい適当に描いて提出した気がする。
……そんなんだから、いつも通知表、10段階評価で3とかなんだろうな。
「提出期限ギリギリとか、珍しいな」
いつも宿題とかもきちんと出していて、授業中にやるプリントとかも早く終わらせていて。
だから居残ってまでやるなんて、なんだか想像できない。