【完】恋愛距離*.゜ーボクラノキョリー
なんとなく、そんな気がするんです。と言ってくれた沢森を、抱きしめてしまいたい。
そしてそのまま腕の中に、閉じ込めてしまいたい。
それで耳元で好きだって囁いて、その唇を優しく塞いで。
溶かすほど甘やかしたら、少しは俺に靡いてくれる?
「──」
喉元まででかかったそんな欲望を、どうにか飲み込む。
何かいいかけて口を閉じたのがわかったのか、沢森が不思議そうに首をかしげた。
「木村君?」
「……なあ、沢森。それって俺のこと応援してくれてるって意味にとっていいよな?」
「え?はあ、まあ、そうですね」
「じゃあ応援ついでに、一つ頼みがあるんだけど」
俺はそう言って手を伸ばして、沢森の腕をつかんだ。
腕に触れるくらい、許してくれてもいいよな。
「え、急になんですか……」
「俺に、『頑張れ』って言ってくれない?」