【完】恋愛距離*.゜ーボクラノキョリー
からかうなよ、と昴に拳骨を落とす。
「期待に添えなくて残念だけど俺は今年もクリぼっちですー」
クリスマス、あいつと過ごせるなら過ごしてえよ。
……でも、どうせ沢森は、他の男と過ごすに決まってる。
恋人のためにあるようなイベントなんて、消えればいいのに。なんて都合のいいことを思いながら、俺は足元の石を蹴飛ばした。
クリスマス当日。
「あれあんた、出かけたりしないの?」
お昼頃までジャージ姿のまま、ゴロゴロしていた俺に母さんが不思議そうにきいてきた。
……見りゃわかんだろ。わざわざ傷を抉りやがって!
「出かけない。寒いし」
「あらー枯れてるわねあんた」
ほっとけ!と噛み付きたくなる衝動をこらえる。
「……何。なんか用?」