【完】恋愛距離*.゜ーボクラノキョリー
└恵梨side*.゜
「お、どこか行くのか?恵梨」
「うん。今日は渓斗君がこっちに来る日だから」
──12月25日、クリスマス。
学校の終業式は昨日に終わり、今日から冬休み。
渓斗君も昨日終業式があったらしく、明日はクリスマスだしそっちに行く、と昨日連絡があった。
会うのは、夏休みぶり。
いつもは渓斗君に会える喜びで浮き足立っているのに、今日の私の心の中では、モヤモヤと息苦しい何かが渦巻いていた。
それが何なのかなんて、どんな感情かなんて知りたくもないから、見ないふりをする。
渓斗君に会えるのが嬉しい気持ちも、嘘じゃない。
駅まで渓斗君を迎えに行くと、既に渓斗君は着いていて、私を見つけるとパアっと顔を綻ばせた。
「恵梨!」
そして私の名前を呼びながら駆け寄ってきた渓斗君は、そのまま私をぎゅう、と抱き締める。
懐かしい渓斗君の温もりに包まれて、嬉しいはずなのに。
ずきりと胸が痛むのはなんでなのか。