【完】恋愛距離*.゜ーボクラノキョリー




具合悪いのかなって心配になっただけ、と慌てたようにいう渓斗君。


「あ、そうだ、これ!」


渓斗君は取ってつけたような声を出すと、鞄から長方形の箱を取り出す。


シンプルにラッピングされたそれを、私の前に置いて微笑む渓斗君。


「クリスマスプレゼント」

「ありがとう……」


それを受取りながら、開けてもいい?と聞くと渓斗君は頷いた。


しゅるりとベージュのリボンを解けば、中から出てきたのは腕時計。


「可愛い……」


文字盤にストーンが埋め込まれていて、光に反射してキラリと光った。


「この前街で見つけてさ。似合いそうだと思ったから」


それ貸して、と手のひらを差し出され、そこに腕時計を乗せると、渓斗君が私の左手を少し引っ張った。


そして、腕時計を着けてくれる。


「……やっぱり似合う」






< 282 / 310 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop