【完】恋愛距離*.゜ーボクラノキョリー
ああもう、折角会えたって言うのにこんな気持ちじゃ失礼だ。
「渓人君!家いこう」
この日のために、実は家でケーキを焼いてある。
ケーキを食べながら二人で談笑すれば、気も晴れるかもしれない。
──そう、思ってたの。
二人でカフェを出て、隣を歩きながら家路を辿る。
いつもと同じような風景だけど、どこかぎこちなく感じてしまうのは、私の心境のせいなのか。
……きっと、気のせいだ。
「実はね、ケーキを焼いてあるの」
「へえ、恵梨の手作り?」
「そうだよ」
渓人君の大好きなチーズケーキだよ、と言うと、すげーなと渓人君は笑った。