【完】恋愛距離*.゜ーボクラノキョリー
それに釣られて私も笑う。
二人でケーキを食べて、他愛もない話をして。
そうすれば、いつも通りの私達になれる。
視界に自分の家の赤い屋根が映り、ホッとする。
やっぱり自分の家はほっとするな──……
「恵梨!」
扉を開けようとした瞬間、内側から開けられた扉。
驚いて固まる私と渓人君に声をかけたのは、お父さんだった。
青ざめた顔をしたお父さんに、私の不安も募る。
なに……?
「え、なに、どうしたのお父さん……」
「お隣の理貴君が、子供を庇って階段から転落したって──」
ああもう、どうして。
どうしてそうやって、貴方はいつも私の心を惑わすの?