【完】恋愛距離*.゜ーボクラノキョリー
どうしてそんなことを聞かれるのかわからない、といったように。
俺は、そんな女の子に、僅かばかりの嘲笑を称えてみせた。
「……当ててやろうか。あんたがなんで俺を好きなのか」
「えっ……」
更に困惑したような顔を見せたそいつに、顔を近付けて、にやりと笑った。
「この顔、だろ?」
しってんだよ。
お前らは皆、俺の顔だけに寄ってくるんだろ。
俺の性格なんて知らないくせに、好きとかよく言えるよな。
「そ、そんなこと……!」
「じゃあ、なんだよ」
そんなことない、と言おうとしたのであろう女の言葉を遮ってそう尋ねれば、案の定そいつは言葉に詰まった。
具体的な理由なんて思い浮かぶ訳がない。そもそも、関わったことなんてないんだから。
「あの、でも、私……っ、」
泣きそうな顔になりながら、まだ諦めずに言葉を紡ぎ続けようとするそいつを俺は一瞥して、口許だけで笑った。
「もういいよ」