【完】恋愛距離*.゜ーボクラノキョリー
それは自分でも驚くほどに低く、冷たさを孕んだ声で。女の顔が、凍りついたのがわかった。
「……もういいから。結局、俺に対しての思いなんてそんなもんなんだよ。いい加減認めろよ。この顔がタイプなんですって」
「そ、そんな……」
「そういうの、いい加減うんざりなんだよな。鬱陶しいしさ」
はは、と渇いた笑いをこぼしながらそう言ってやる。
女の目にはみるみると涙が浮かぶ。それすら、鬱陶しい。
「酷い……」
「俺、性格悪いから。謝るつもりもないから」
吐き捨てるようにそう言って、俺はその場を後にした。
──俺だって、人間だ。
告白を断ることに、なにも感じないような非情な男じゃない。だから、告白を断った後はいつも胸がもやもやして、イライラする。