【完】恋愛距離*.゜ーボクラノキョリー
砕けたチョコレートは、まるで今の俺と沢森の関係のようで。
辛うじて食べれそうなチョコレートを口に含むと、いつも自分が食べているチョコレートよりもほんのにと苦かった。
それから、何度も沢森に話しかけにいこうとしたけど、沢森は逃げるように俺の前から消えていくから。
結局話せないまま、時は立ち。
──ついに、卒業式。
もうこの卒業式で沢森と話せなかったら一生後悔する。──そう思った俺は、卒業式当日、朝一番に沢森に話しかけようと意気込んでいた。
だけど。
「……なんでだよ……?」
体育館に入場する時間になっても、その姿は無くて。
沢森のいないまま、卒業式はどんどん進んでいって。
体育館から退場した瞬間、俺は担任の元へと走っていった。
「っ、先生!」
「木村?どうした?」