【完】恋愛距離*.゜ーボクラノキョリー
そんなことを、言ってきた。
昴にとっては、ただ純粋に友人の恋を応援してくれようとしただけなんだろうけど──今の俺には、けっこう残酷で。
「そうだな」
俺は、自嘲めいた笑みを浮かべることしか出来なかった。
──その日の放課後。
俺が帰ろうと靴箱に向かったとき、ふと、見覚えのある後ろ姿を見つけた。
ごみ袋を両手でもち、長い髪の毛を揺らしながらキョロキョロと辺りを見回している女の子。
その姿を見ただけで、胸がぎゅう、と締め付けられる。
……きっと、俺が話しかけてもあの子は──沢森は、怯えるだけなんだろうな。