【完】恋愛距離*.゜ーボクラノキョリー




敬語だと、なんか他人行儀な気がして気に入らない──いや、沢森にとって俺はもう、他人でしかないのか。


「特に意味がねーなら、タメみたいに話せって……前、みたいにさ」


そう言った瞬間、びくりと沢森が震えた。


そして、俺の手を振り払い、顔を背けた。


「やめてください」


今更、──最後に呟かれたその小さな台詞も、しっかりと俺の耳には届いた。


そう、今更、なんだよな。全部。


今更、なにもかもがもう遅いんだ。──全て壊れてしまった後では。


「……じゃあそのままでいいからとりあえず逃げんなよ」

「……。」

「ゴミもったまま昇降口ウロウロしてるなんてあからさまにおかしいだろ……」

「……ゴミ、捨てる場所、わからないんです……」


ゴミ袋を抱えるように、ぎゅ、と抱き締めて、拗ねたようにそう言った沢森。



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