【完】恋愛距離*.゜ーボクラノキョリー
「おはよ、木村君!」
「……おう」
俺にフラれた事なんてまるで気にしてないのか、明るく話しかけてきたその子。
その子が不意に、探るように俺を見つめてきた。
「……なに?」
「いや、……あのさ木村君、私の名前、覚えてる?」
「……」
「クラスメイトなんだし、さすがに覚えててくれてる、……よね?」
……まったくわからないわけじゃない。
うっすら、なんとなくならわかる。
「滑……滑、滑山?」
「滑川(なめかわ)だよ!」
怒ったように頬をぷくう、と膨らませるその子──もとい、滑川。
「まさかとは思ってたけど、やっぱり覚えられてなかったかー。眼中にもないってことー?」
「悪い……」
「別にいいけど!これでもう覚えたでしょ?私、滑川未夢(みゆ)!わかった?」
「わかったわかった」
苦笑いしながら頷くと、滑川が満足そうに笑う。
……なんか滑川って、見た目は髪の毛とか巻いてギャルみたいなのに、性格はサバサバしてんだな……。
「ところで、木村君の好きな人って誰?」
「……!?……はぁ!?」