【完】恋愛距離*.゜ーボクラノキョリー
相手の幸せのためなら、己の身を引く。
そんな滑川の姿勢が、すごい、と思った。
……俺には無理だ。沢森が俺じゃない誰かと話してたら、ものすごい嫉妬するし、正直力ずくでもいいから自分のものにしたいって思ったりもする。
沢森が幸せなら、なんて割りきって、沢森と他の男との仲を応援するなんてできない。
……心狭いのか?俺……。
「ファイトだよ木村君!木村君に惚れない女なんてそうそういないから!!」
「そんなことないだろ……」
「そんなことあるよ!もっと自信もって!諦めちゃ駄目だよ!」
諦めちゃ駄目、か。
……そうだよな。フラれるのが怖いからってビクビクしてる場合じゃないよな。
「……サンキュ、滑川」
そう微笑むと、滑川もほんのりと頬を染めて微笑んだ。
……とりあえず、謝ろう。
告白の前にまずそれだ。誤解を解こう。