【完】恋愛距離*.゜ーボクラノキョリー
木村君がこんな小娘、相手にするわけがないでしょ、って。
……でも、あんまり木村君が優しいから。
甘く溶けちゃいそうな視線で、私のことを見てくれるから。
優しく触れてくれるから。
勘違いしてたんだ。
私は本当に木村君に愛されてるって。両想いなんだって。
そんなはず、なかったのに。
私と木村君との間で無残に砕けちったチョコレートは、まるで私の心模様。
……でも、よかったかもしれない。
これで心置きなく、引っ越す事ができるから。
なんの未練も、ないから。
それから私は木村君を避け続けた。顔を合わせられるわけもなかったし、声を聞くだけで泣いてしまいそうだったから。
そして、卒業式当日。
皆今頃卒業式をしているんだろうな、と私は機内で物思いに耽っていた。