ダウトゲーム【更新中】
夕陽に照らされ

いつも以上に透き通って明るく見える髪。

逆光のせいで際立つ

その細身のシルエット。


机の上に浅く腰を掛け

両腕を気怠く脚の間に置く姿が

何だか様になっている。


スッ――とした、冷たい視線がこちらに向いた。



ーードクンッ

身体の中に
何かが波打ったのを感じた。



……あぁぁ、まずい。

これは完全に目を逸らすタイミングを逃した。

踵を返そうにも、鞄は教室の中だし。

っていうか

もう片足入れちゃってるし。




扉に手を掛け、右足を踏み出して一旦停止。

という間抜けな状態で

体感時間にして約二秒フリーズした結果、




「大丈夫!告白現場は見てないよ!」




冷たい視線から目を逸らし

よく分からない言い訳を発しながら

スタスタスタッ

颯爽と教室に入っていくという奇行に走った。


あぁ。

本当に告白されてたのかどうかなんて、わからないじゃないか!

気付いても今更である。


そんなアタシの仕草を目で追って


「……俺は見えてたよ、告白現場」


フッと笑いを漏らしながら

右崎 柊が反応した。




「へ?」



ーーそりゃ、そうだろう。

当事者なのだから見えていて当たり前だろう。

イマイチ意味がわからず

咄嗟に声の方へと顔を向けた。



さっきよりも少しだけ近い距離で、目が合う。

見たことのない

色気のある微笑が

そこにあった。




背筋が凍り付きそうだ。

 

いや、実際に凍り付いていると

目線はそのままに

顎を突き出す仕草をしてきた。



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