ダウトゲーム【更新中】


「んじゃ、これからよろしく」


すっ、と差し出される右手。



それはまるで舞踏会に誘うお伽の国の王子様のような仕草で。


小首を傾げて
余裕の笑みで。


私は戸惑いながらもその手に自らの手を重ねた。

まるで自分がお姫様にでもなったかのような気分で……



「お前、“お手”じゃねーよ。

握手だろ、ここは」



「え?」



お姫様気分が一瞬にしてペットと化す。



同時に、

色々な恥ずかしさが上昇してきた。




「ち、違っ!

あんたが紛らわしいことするから!

一瞬、自分がこれから踊るんじゃないかって勘違いしちゃったじゃんか!!」



って、もっと違ーう!

恥ずかしさ上乗せ。




「っは!踊るってどこの貴族だよ!」



いつものクールな雰囲気はどこへやら

私は文字通り

腹を抱えて笑われている……



そんなレアな彼を呆然と見つめていると

やっと気が済んだのか




「まぁ、いいや

何か思った以上に面白くなる気がしてきたわ」



そう言うな否や、

再び右手を差し出してきた。





瞬間、

視線が噛み合う。

何かが弾けた。

ゲーム開始のカウントダウンが始まる。




そして、

今度こそ私達は握手を交わす。






一瞬見せた、彼の無防備すぎる無邪気な笑顔に

今の今までの恥ずかしさや迷いが吹っ飛んだ。







「よろしく、ツンデレお姫様」

「ちっがーーう!忘れて!!!!」


ーー

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季節はGW直前の四月下旬

時間は放課後

西陽傾く放課後の教室で

校内一、二を争う美男美女が

オレンジ色と黒のコントラスを作り出す。







最強カップル、とりあえず誕生。






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