ダウトゲーム【更新中】
「ちょ、右崎……!」
「いいから、とりあえず来て」
掴まれていた手首が解放され、連れていかれるは中庭。
無言で木陰に腰を下ろしたので
それに従う。
あ、ここで食べるんですかね?
いろんな人に見られてますけど。
「ランチも一緒なんて、ルールにはなかった気がするんですけどね」
無表情の右崎を睨みつけて文句を零す。
まさか、毎日食べるとか言わないよなコイツ……
風香が一人で食べることになってしまうので、それは避けたい。
瞳を伏せて購買で買ってきたらしい袋の中を淡々と漁る右崎に
あ、スルーなんすね。と半ば諦める。
何はともあれ
再び苺ミルフィーユを口に運ぼうと意識を手元に集中させると
ふわりと洗剤だかシャンプーだかの香りが鼻先を掠めた。
「おい、今ルールとか言うなよ」
背筋を撫ぜるようなハスキーなテナーボイスでの耳打ちに心臓が萎縮。
「何のためにお昼誘ったと思ってんの?
ちゃんと演れよ……
あんた、演技下手すぎ」
そんな悪態とは裏腹に
耳元から離れて、顔を覗き込まれ小首を傾げる仕草が甘ったるくて、こそばゆい。