ダウトゲーム【更新中】
この非公認ファンクラブには

おそらく、掟や規則などは皆無。

また、仲間意識の強い女子集団で形成されている飛騨ファンクラブと違い

ライバル意識の高い男たちに

『皆の華井さん』

なんて柔な考えは毛頭無い。


…ぶっちゃけ、現状の告白連鎖程度なら面倒ではあるが、まだ良いのだ。

怖いのはそれがエスカレートしたらという場合。

ストーカーなんてことは無いと思う(願う)が

自宅がバレでもすれば、自宅前で待ち伏せは勿論

隠し撮りのレベルもモザイク級(セクシー風呂上がりとかセクシー風呂上がりとかセクシー風呂上がりとか)になり兼ねないじゃないか。

昇降口で待ち伏せする男が可愛く思えてくること、請け合い。



デザートの苺ミルフィーユを咥えながら

そんなことをグルグルグルと考え、顔を歪める。

それを見ていたヒダリ君が一言。



「ハナちゃんは女版、柊だね」



……柊?




「あぁ、ミギ君ね

たしかにあの人もしょっちゅう呼び出されてるイメージあるかも。

昼休みも教室には絶対いないよね

ヒダリ君みたいにサッカーしに行ってる訳でもなさそうだし」

アタシの代わりに風香が答える。

「はっは!あいつはねぇーー…」


ーーキーンコーンカーンコーン


ヒダリ君の話を遮るように教室に昼休み終了の合図が鳴り響いた。




「まぁ、そんなに落ち込むことないっしょ!」

「いちいち深く考え過ぎなのよ、華は!」

そう慰めの声を掛けながら、二人とも各々に授業の準備を始めた。



アタシも慌てて苺ミルフィーユを掻き込み、英語の教科書と電子辞書を探し始める。



そう、

端から見たら贅沢な悩みだってことはわかってる。

でも、やっぱりどうにかしたいんだよ!

普通に生活してさ
普通に恋してさ
この青春時代を満喫したいんだよ!




結局、電子辞書は見つからなかったので教科書だけ用意して

両腕を机の上に投げ出した。
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