別れたオトコと会う時は
若い男は言う。


誰より愛している、と。


嬉しかった。


とても、嬉しかった。


でもわたしは知っている。


若い男は、『他人のモノ』のわたしだからこそ、自分のモノにしたいのだ。


カナコは言った。


『わたし達に、未来は無いわ。』


遊びだった。


遊びのはずだった。


それなのに、鋭い刃に貫かれたように、カナコは自分の言った言葉に傷付いて、そんな自分を持て余す。


若い男はカナコを抱きしめ、何度もくちづけをする。

痛いくらいに。



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