別れたオトコと会う時は
わたしの手料理を、「美味い」と食べる若い男が好きだった一。


旦那に、「美味い」と言って貰っているようで。


わたしの子供の話を愛おしそうに聞く若い男が好きだった一。


旦那にも、話を聞いて貰いたかった一。


若い男の前で、


若い男の好みの料理だけを作るようになったのは…


家族の話をしなくなったのは…


いったい、いつからだろう?


ふとそんなことを考え、動揺する。


それを悟られまいとするように、


『遊びは、おしまい。もっと若い彼女でも作ったら?』


カナコは再び鏡を見つめると、若い男にそう言った。・
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