別れたオトコと会う時は
『それっきり。』


カナコは一通り話し終えると、



『呆気ないものよね。』


肩を竦めて、淋しそうに笑った。



『カナコ…。』



『…淋しかったの。』


わたしは黙って、カナコの話を聞いていた。


若い男と付き合うことで、カナコの淋しさは消えるはずだった。


けれど、付き合いが深まる度、カナコの淋しさは増していった。


何度も、『これが旦那だったら…』と思った、とカナコは言った。


そして、『この若い男とやり直せたら…』と何度も思った、とも。



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