別れたオトコと会う時は
それから、カナコとわたしは無言のまま駅に着いた。


『旦那に、全て言うわ。』


券売機に小銭を入れながら、カナコは言う。


『わざわざ言わなくても…』


そう言おうとしたわたしを遮るように、カナコは続けた。


『わたし、ずっと一緒に居過ぎて、旦那と向き合うことをしてこなかった…。』


どのみち、こんな気持ちのまま何も無かったかのように生活していくなんて、辛いもの…。


カナコは自嘲ぎみに小さく囁いて、「わたしのエゴかしらね」と笑った。





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