別れたオトコと会う時は
緒方さんは苦笑いして、言った。


『ユミのことは好きだったけど、本音を言うと、わざわざ離婚してまで一緒になろうって、そこまでは考えていなかったんだ。』


部屋の中が静まり返る一。


『だから、ユミから別れ話が出た時、「仕方ないな」と受け入れたんだ。でも一。』


『でも?』


カナコが強い口調で続きを促した。


『いつも感情を見せないようにしていた、強いと思っていたあのユミが、ベランダから泣きながら…それこそ、なりふりかまわず俺を呼んだ姿を見た時、「あぁ、コイツを守ってやらなきゃ」と思ったんだ。』




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