別れたオトコと会う時は
『…消えたい。』


逃げ込んだトイレの鏡の前で、わたしは頭を抱えていた。



『…こんなの、アリ?』



十年ぶりの再会…それが、まさかこんな形になるなんて…。


鏡の中に、顔を真っ赤にした35歳のわたしがいる一。


『イイ歳こいて…何やってんだか。』


『お洒落しちゃって…似合ってないし。』


わたしは馬鹿なことをしてしまった鏡の中のわたしに、思いつく限りの文句を言った。



『笑われちゃった、じゃん…。』


文句を言い尽くしたわたしは溜め息をつきながら、泣きそうな自分を鏡越しに見つめた。



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