別れたオトコと会う時は
『松田くん、言いつけたりしないでね。』


わたしは人差し指を立てながら口元に持っていくと、松田くんにそう言った。


アイツはハアっと大きく息を吐き出しソファにもたれ掛かる。


『松田、オマエ、明日残業な。』


そして、


『ハナ、会場入ろう。』


わたしに優しい目を向けてそう言うと、


『そりゃ無いっすよ、先輩…。』


情けない声を出す松田くんに背を向けて歩き出した。


そんな二人を追い掛けて、わたしも会場へ入っていく。




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