別れたオトコと会う時は
会場の入口で深いお辞儀をした二人は、ゆっくりと金屏風の方へ向かう。


「奈津美ちゃん綺麗!」

「よっ!色男!」


みんなからの冷やかしの声に二人は笑顔で言葉を返しながら、幸せを噛み締めるように歩いて来る。


そして、わたしのテーブルの横を通り過ぎる。



「おめでとう!」

「やったな!」


すでに涙でぐしゃぐしゃのわたしが何も言えないでいると、奈津美ちゃんはアイツとわたしの顔を順番に見た。


『席、気に入りました?』


そして、わたしにウインクして言った。



『ハナ先輩。スピーチよろしくお願いします、ね?』




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