別れたオトコと会う時は
『ハナちゃん、スピーチすんの?』


主賓の挨拶と乾杯を終えた歓談中、松田くんがわたしに聞いてきた。


『うん…そう。』


だんだん緊張してきたわたしは、松田くんの言葉に上の空で返事をした。


『ハナちゃんのスピーチ、楽しみだなぁ。』


『そんな…。』


『松田、そんなこと言ったらハナは緊張するぞ。』


松田くんとわたしの真ん中で、アイツが松田くんを諭すように言う。


『え!ハナちゃん、緊張してるの?』


松田くんが驚いたようにわたしを見た。


『ハナは緊張すると、また逃げたくなっちゃうからな。』


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