別れたオトコと会う時は
『大丈夫?』


わたしは心配そうにアイツに聞いた。


『上着、財布とか大事なモン入ってるからしっかり持っててな。』


アイツは笑顔で、わたしの頭に軽く手を置くと、そのままトイレに向かって歩いて行った。


ロビーのソファに腰掛け丁寧に畳んだスーツの上着を膝の上に置き、わたしはアイツを待っていた。


『大丈夫かな…。』


お酒に強いはずのアイツが「飲み過ぎた」なんて…。


心配になり、わたしはトイレの方へ目をやった。


会場にはもう既に誰もいなくなり、二次会へ向かう人、帰る人、それぞれが次の場所へと消えていた。
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