別れたオトコと会う時は
『自分のことばかりだったのは、わたしの方。』


アイツはわたしを見て優しく笑い、サンキュ、と小さく言った。


『でも、オレがハナを追い詰めていたんだ、って今なら解る。』


あーあ、とアイツはソファの背に深く寄り掛かると、


『めちゃくちゃハナを好きで…ハナ以外何も見えてなかったからなぁ。』


そして真剣な顔でわたしを見た。


『たくさん、ハナを傷つけた。』


わたしはもう一度、首を振った。


『幸せ、だったよ。』


確かめるように、わたしは続けた。


『幸せすぎて…怖かったの。』


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