別れたオトコと会う時は
優しい笑顔でわたしの話を促すアイツの顔を、わたしは見つめ返す。



一あの時、何を言おうとしたの?一


喉まで出た言葉を、わたしは飲み込んだ。




一ずっと、わからないままでいい一



そう、思ったから…。




『どうした?』


わたしを優しく見つめるアイツに、わたしは笑顔で言った。



『今日、会えて嬉しかった。』


『…オレも。』


『じゃあ、行くね。』


『おぅ。』


不意に切なさが胸を締め付け、わたしはアイツを振り返った。



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