別れたオトコと会う時は
わたし達はお互いの姿を目に焼き付けるように、見つめ合った一。




目の前に、10年前のアイツが立っている。


そして、


見つめたアイツの瞳には、同じように10年前のわたしが映っていた。



一ハナ、ギュッとしたい一


10年前のアイツは、いつものようにそう言うと、わたしを引き寄せ、きつく抱きしめた。


アイツの腕の中で幸せそうに瞳を閉じる、10年前のわたしがいた。


叶わなかった愛のかけら達が、幸せな涙に変わり、アイツの胸を小さく濡らした。


何度も夢に見た、幸せな10年前の二人がそこにいた。





< 193 / 200 >

この作品をシェア

pagetop