別れたオトコと会う時は
アイツの瞳から視線を外して、わたしはアイツから渡された青い傘を開いた。


『…二次会、楽しんでね。』


アイツがわたしに頷く。


『…行かないの?』


『ハナが帰ったの見たら、行くよ。』


どうして?と首を傾けるわたしに、アイツは言った。


『ハナの消えてく後ろ姿、覚えておきたいから。』


そして、


『ほら、またオレが引き止める前に、行けよ。』


最後の笑顔を、わたしに向けた。


わたしは小さく頷くと、雨の中に足を踏み出した。




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