別れたオトコと会う時は
『カギ?』


男は聞き返す。


『そう、カギ』


『なぜ?』


『1から、やり直すわ。新しい未来のために。』


カギを置いて、男は出ていく。


パタン一一一


閉まるドアが、二人の終わりの音を告げる。


涙が溢れ出す。


後悔?


ううん、きっと、これでよかった。


カギひとつ分、確かに男は軽くなった。



その軽さに、男は今、戸惑ってくれてるだろうか?


男の残した吸い殻を拾い、男の仕草を真似ながら、火を点ける。


ため息のように息を吐くと、紫色の煙がゆらめいて、そして、闇の中へ消えていった一。





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