ビターな彼氏の甘い誘惑

「あの、」
うろたえる彼女を横目に
私はとりあえず、
立ち上がって
腕の当たりを水で流す
さーーっと鮮血は流れていく。

「あ、嶋野さん。
 別に気にしなくていいんで。」

私ったら、驚くほど冷静。
荷物、拾ってください。
と 促す。


「でもっ。その・・・ごめんなさい。」
「津川さんとも、何でもないですし!
 私、彼氏いるのでぇ。」

「え?そ、そうなんだ。」
「はい。でも、なんで津川さん??
 香川君とかだったら 
 仲がいいから、分かるんですけどぉ。」

おろおろしながら
ななちゃん さんは、すっとハンカチを出した。
・・・イメージが違う、
緑のチェック柄。

へぇ、こんなの持つんだ。
勝手に、いかにも女子みたいなのを想像してた。

「あの、汚れちゃいますよぉ?」
「何言ってんの・・・!!
 ごめんなさい。傷つけてしまって」

勝手にぎゅーーって
傷口を抑えてきた。

いったぁぁーーいっ!!

でも、
・・・ちょっと
血は収まった・・かな?


「あのぉ。
 もう、大丈夫なので・・・」

「あ。すいません。」

あとは自分で
抑える。

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