ビターな彼氏の甘い誘惑
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がちゃり と 後部座席の扉を開けて、
降りる。
助手席の窓を開けて、
嶋野さんが、
にこやかに 笑う。
わたしも、つられて笑う。
「じゃ、わざわざありがとうございますぅ。
嶋野さん。
ハンカチ、かりますね?」
ちょっと汚れたハンカチを
ひらりとさせて、
鞄にしまう。
「えぇ。ごめんなさい。
怪我させちゃって・・・」
「そんな、そんな。
大したことじゃないしっ。」
腕を振って見せる。
にこ ってわらうと、
また嶋野さんも、
安心したように笑顔を返した。
「じゃ、行くね。利理さん。」
「はい。ありがとうございます。津川さん。
助かりました。」
「いえいえ。
だから、その!ほんとーーに、よろしくだよ!!」
津川さんが訴えてくる。
「はい。ちゃんと、
ご機嫌取っておきます。」