ビターな彼氏の甘い誘惑
ちょっと焦る
綾菜さんを見てると、
「・・・あれ?」
反対側の車道のお店から
ばっちり目があった・・・
ん?
「げ。」
思わず、眉をしかめる。
私に気が付いた彼は、
にっこり笑って、
軽く手を振る。
そして、スーツのポケットから
携帯を取り出し
にこにこ と笑って私に目くばせ。
私のカバンの中でも
着信を知らせるバイブ音ーーー。
「はぁ。」
私は あきらめたように一つため息をついてから
着信に出る。
「・・・
なに?お兄ちゃん。」
なんて、タイミング。
『なんだよ。すっげー偶然じゃん?
う、ん、め、い 感じちゃう?』
あー、もう、よっぱらい。
「あー、はいはい。
感じますよぉ。運命ですねぇ。」
仕方ないなぁ。
私は 少ない車両をよけるように、
急ぎ足で反対車線へと渡った。