ビターな彼氏の甘い誘惑
兄の腕をひらりと交わして、
あわてて鞄をあさる。
探しあてて見ると、
「ぁ。」
どきっと する。
部長だ。
「もしも・・「遅いっ!」」
怒鳴られた。
「怒鳴らなくても・・・」
『あぁ。悪い。』
あっさり
謝られた。
こういうのは、ちょっと、うれしい。
ちょっと、
ざらついた低温ボイスが耳に心地よい。
ふと、和馬兄が
こちらに手をひらひら振っている。
「何?利理?一緒に二次会行くかー?」
「あ、なにー?ちょっとまって、
電話中だからー!
・・・すいません。部長。」
『--誰?』
ちょっと、怒ってる?
「えぇと、
怒ってます?」
『・・・迎えに来た。』
「え?どこに・・・」
声が、怖いんですが。
ふと、顔を上げると、
反対車線の少し 先に、見慣れた車があった。
えぇ、また 車道をわたるのかぁ。
まぁ、飲んでいたのは反対側のお店だから仕方ないけどね。