ビターな彼氏の甘い誘惑



『俺の女になって』
 
呉羽部長がそういったとき、
私は、すぐに頭が働かなくて、
「・・・・はい??」
とすっとぼけた声しか出なかった。


『・・・あはは。それって肯定?』

呉羽部長が本当に面白そうに笑って、
私の頭をポンっと撫でた。

その顔があまりに
ギャップがありすぎて、
思わず思考停止。

「っ。いえっ。その、ダメです。」

はっと気がついて、あわてて否定する。

冗談じゃないわ。

いくらかっこよくても、
笑顔が素敵でも・・・

それでも、呉羽部長はまた楽しそうに笑って

『じゃぁ、またね?
 webデザイン部の加藤 利理さん。 』

私の首から下げたネームプレートを
長い指でなぞって
部長は、ひらりと車に戻った。

そして、
ボー然とする私を置いて、

ふっと笑って、
ひらりと手を振って
車を発進させた。


・・・なんだったんだろう。

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