ビターな彼氏の甘い誘惑

「牧瀬さんも、上がりですか?」

「いやぁ~
 終わりたいんだけど、あともう少し。
 ここのデザインの色指定が・・・」

牧瀬さんは、ひらりと左手で紙をなびかせた。

この間自慢していた
結婚指輪がキラリと光る。

うーん。

私は、ちらりと時計を見てから、

「じゃぁ、代わりにやりますよ?

 色指定の数値を打ち込むだけでいいんですよね?」


「え?
 いやいや、大丈夫だよ利理ちゃん。」

「ふふふ。奥様、家で待ってますよぉ?
 新婚なんだから、
 早く帰ってあげてください!

 それに、どうせ待ち合わせは9時過ぎなんですから。」

「でも・・・」

ちょっと、申し訳なさそうに笑う牧瀬さん。


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