冷たいアイツ




それから二週間がたった。
あっという間に五月だ。


あたしと小平は少しだけ話すようになった。


「おはよ」


最近、小平から離しかけてくることが多い。



「おはよ」

あたしは、いまだに無愛想。


「渉さぁ、笑えば??」


あたしは、バッと振り向いた。

「今、渉って…」


初めてアイツがあたしの名前を呼んだ。


「そりゃどうも。
 無愛想で悪かったね!武だって笑わないし」


人のこと言えないだろ~!?
うるさいなぁ!自分だって!!


暫く、その言い合いが続いた。

二人ともあきれた頃に、武がはじめて笑った。

「ははっ!!お前面白いな」



ドキッ――-
可愛い…
そう思った。真面目に可愛かった。



あたしもなんだか可笑しくなってきて…


ついに笑ってしまった。
「ははははっ!!!!」


「おっ。笑った。可愛いじゃん」



「うるさいなぁ!!武だって可愛いじゃん」



「タケって呼んで。
 みんなそう呼んでる」


うん。

そう言って、あたしはベランダに出た。






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