冷たいアイツ

「何が?」



その眼のまま、あたしを見て、
答える。



「…篠のこと」


あたしも、目をそらさずに話す。
こう言う、基本的なことが出来ないと
タケはイライラするからだ。


どんなに怖くても、目を見る。



「悪い事したの??渉が??」


口調は、優しいほうだ。


「していません。いや…した…のかな??」


「俺が聞いてるんだけど」



「はい。しました。近かったです」



タケは、眼を戻す。
普通の、いつもの眼に。



あの、優しい眼に……。



「分かってんならいいんじゃない?
　ってか、怒ってないし。
　俺、演技うまくない??」


いつもの可愛い顔して笑った。

やっぱ、これだなぁ。

この笑顔が、あたしを落とした。





初めて会ったとき、話したとき…。



















その笑顔にやられたんだ。