冷たいアイツ

初めて


――一年前 5月-―

「おはよ」


あたしとタケは、毎日話した。

今日の占いがどうとか、
昨日のテレビがどうとか。


下らない話しかしなかったけど、
それは、あたしの中で幸せになる
魔法だったんだ。



「お前ら付き合ってんじゃねぇの??」


周囲からは、「怪しい!」と言われ、
冷やかされた。


二人で否定したけど、
それは逆効果だったらしく、
「二人で否定してさ」

と、誤解されたり。



でも、それは、仕方なかった。
そして、こんなに仲良くなれたきっかけは、
今から一ヶ月前にさかのぼる。



   ● ● ● ● ●


「今日、タケんち行くけど、
 お前来る??」


シュウちゃんが、帰りのバスでそう言った。


あたしは、チャンスだと思った。


シュウちゃんが、何故タケと仲がいいのか。
それは、同じ部活に入るから。

見学とか行ってるうちに、仲良くなって、
今じゃ、友達以上なんだって。



だから、最近よく遊びに行っていた。
あたしは、羨ましく思っていたんだ。


「ん~暇だし…行こっかな」



ホントは内心、うれしくて仕方なかった。

楽しみで仕方なかった。



何来て行こうかな…。
いつもの服でいいよね?



いつもは気にしない服装まで気にして。
あたしどうしちゃったんだろう…



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