冷たいアイツ
そんなこんなしているうちに、
旅行は、明日にまで迫っていた。
明日だね~旅行!!
用意全然してない~
明日早く来る??
教室の中では、旅行を楽しみにしている人たちの楽しそうな声が聞こえる。
あたしは、あんまり乗り気じゃなかった。
「渉~!!」
後ろから篠に抱きつかれる。
あたしは、引き離す元気もなく、そのままの状態でいた。
篠は、ゆっくり離れて、席に着く。
「タケが原因??」
そんなに分かるのかなぁ…あたし。
顔に出てる??
「すごく出てる」
「あれ?心読める??」
心で思っただけのはずなのに、
篠に返事をされた。
「さっきから思いっきり声に出てるよ」
「そぅ…なんだ」
「そんなに、冷たいの??タケのヤツ」
篠は、状況を把握している。
あたしが話したからだけど…。
「うん。あたし何かした??」
少し切れ気味に、篠に聞いた。
してないと思うよ。
って、優しい言葉をくれる。
安心するね、篠と話してると…。
心配そうな顔で、あたしを見る。
明日、ちゃんとくるよね??
って…。
「うん。行くよ」
あたしは、笑って答えた。
「じゃぁな!!また明日」
軽く手を振って、篠は帰った。
あたしも帰ろ…