冷たいアイツ
「渉、ちょっといい??」
休み時間、珍しくタケが声をかけてきた。
あたしは、タケの方を向く。
タケは、あたしの前の席に座って、真剣な顔をした。
「あのさ…」
あたしがずっと不安だったこと。
今、一気に去った。
逆に、悲しみがあふれ出す。
――別れて下さい――
あたしは、必死で笑顔を作った。
「うん」
こういう約束だからね。
次の授業はサボった。
先生に嘘ついて、あたしの一番落ち着く場所に向かった。
そこは…グラウンドが見える、秘密のベランダ。
教室からもどこからも見えないし、
人はほとんどこない。
泣くには打ってつけの場所だった。