冷たいアイツ
休み時間になっても帰ってこない。



なんとなく心配になって、俺は見に行った。




未練がましいなぁ…




「タ…ケ…」


ベランダに近づいて聞こえた、あいつの声。

間違いなかった。




俺の名前を…




俺はそっとベランダを覗き込んだ。



そこには、壁に寄りかかって寝ている渉がいた。






「しょうがない奴」



呟いて、俺は渉の隣に腰を下ろした。


「俺はまだ好きだから。お互いの気持ちと、今の状況がスッキリしたら俺と…また向き合ってくれよな」





それだけ言って、おでこに軽くキスをして、俺はその場を去った。





あんなことして…


未練あるのバレバレじゃん…。




篠のことも、渉のことも失いたくない。



俺は…








ケリをつける。




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