冷たいアイツ
「大丈夫ですか??あのっ、あの!!」
車から人が降りてきて、必死に呼びかけている。
あたしは、頑張って目を開けた。
そこには――……
「渉!?!?何やってんだよ!!
大丈夫か??おい!!
生きてるよな??死ぬなよ!!」
大好きな人の顔があって。
「勝…手に…こ…ろさ…な…いで…よ」
途切れ途切れに、やっと出た声。
ずいぶん長く感じたこの瞬間は、約30秒ほどしか経っていない。
あたしは、意識が途切れる中で、
篠の無事だけを確認していた…。