冷たいアイツ
「お前が付いててやらなきゃ駄目だろ」
篠は微笑んで、そして強く言った。
「支えてやれよ!!」
俺は頷いて。
――ピーポー
救急車はサイレンを鳴らして走り出した。
白い天井を見上げて、俺は祈る。
渉が、どうか助かりますように…。
俺を置いて…逝かないでくれ…
いつの間にか、涙が出てきた。
こんなに悲しくて、不安な気持ち…
初めてだった。
――パッ
手術が終わって、赤いランプが消えた。
中からは、点滴を打っていて
白の目立つ、渉が、看護師に付き添われて出てきた。
目は覚ましていないようで、まだ固く閉じた目が開く気配は無い。
そう思っていた…。