花と闇
「興味もないな。」
そして、ヴォルフラムは男に鋭い爪を向けた。
「その、嫁の友人を渡してもらおうか。」
「おぉ、怖い怖い。」
男は愉しそうだ。
「では、シエリア。……君に問おう。」
シエリアは男を見る。
機械的な反応だ。
「……どちらについて行く?」
いやに優しい表情で問いかけた。
シエリアは静かに男の方へ歩み寄る。
「シエン!」
クラウジアが呼ぶ。
しかし、その声は届かない。
「御前は……私は……」
泣きそうな声で言う。
「……友達だろうが!!帰ってこい。シエリアー!」
叫ぶも、シエリアは反応しない。
男はシエリアを抱きしめた。
「いい子だ。」
そう言いながら笑う。
「残念だったな。」
クラウジアを嘲笑うと、男は民家を見た。
中から、赤子の泣き声が聞こえた。
「……おや。」
そう言うと、その家に近付き、扉を蹴破る。
「ごきげんよう。」
怯える家族にニヤリと笑った。
「シエリア。」
そう言うとシエリアが歩み出た。
そして、家族を守ろうと前に進み出る父親に触れる。
眩しい光がシエリアに吸収され、その男は地面に落ちた。
「……噂の魔女は、こいつか。」
ヴォルフラムはそう言って、地面を蹴る。
大きく飛躍し、家族の前に立つ。
「貴様の能力は、普段から植物以外にも使えたのか。」
そう言いながら、シエリアを見た。
(……以前、こいつが正気だった頃にもこういうことがあった。)
ヴォルフラムは過去を思い返した。
それは、シエリアが初めて血を飲んだ時だ。
大事なものを守る為に、血を飲み、戦った。
(今のこいつは正気じゃない。)
恐らくは、と予測する。
(もしや、何者かの血を飲んだのか?)
普段から使える様子は今までなかった。
だとしたら、シエリアは血に対して耐性が低いのかもしれない。
そして、多くの血を与えられた。
(では、その血を吸い出せば……いいや。既に吸収した後だ。ほぼ、無駄だろう。)
思考を巡らすヴォルフラムにシエリアは向かった。
「あなたも、わるいひとなの?」
漸く言葉を発した声は酷く冷たい。
どこか、欠如しているような声だ。
「いいえ。いいかわるいかなんて、だれにもわからない。」
独り言のように言葉を紡いだ。
「シエン!」
クラウジアがヴォルフラムの前に立ち、シエリアを見た。
「正気になれ。御前は、自分が何してるか」
「わかってるよ。とても、わるいこと。」
そして、ヴォルフラムは男に鋭い爪を向けた。
「その、嫁の友人を渡してもらおうか。」
「おぉ、怖い怖い。」
男は愉しそうだ。
「では、シエリア。……君に問おう。」
シエリアは男を見る。
機械的な反応だ。
「……どちらについて行く?」
いやに優しい表情で問いかけた。
シエリアは静かに男の方へ歩み寄る。
「シエン!」
クラウジアが呼ぶ。
しかし、その声は届かない。
「御前は……私は……」
泣きそうな声で言う。
「……友達だろうが!!帰ってこい。シエリアー!」
叫ぶも、シエリアは反応しない。
男はシエリアを抱きしめた。
「いい子だ。」
そう言いながら笑う。
「残念だったな。」
クラウジアを嘲笑うと、男は民家を見た。
中から、赤子の泣き声が聞こえた。
「……おや。」
そう言うと、その家に近付き、扉を蹴破る。
「ごきげんよう。」
怯える家族にニヤリと笑った。
「シエリア。」
そう言うとシエリアが歩み出た。
そして、家族を守ろうと前に進み出る父親に触れる。
眩しい光がシエリアに吸収され、その男は地面に落ちた。
「……噂の魔女は、こいつか。」
ヴォルフラムはそう言って、地面を蹴る。
大きく飛躍し、家族の前に立つ。
「貴様の能力は、普段から植物以外にも使えたのか。」
そう言いながら、シエリアを見た。
(……以前、こいつが正気だった頃にもこういうことがあった。)
ヴォルフラムは過去を思い返した。
それは、シエリアが初めて血を飲んだ時だ。
大事なものを守る為に、血を飲み、戦った。
(今のこいつは正気じゃない。)
恐らくは、と予測する。
(もしや、何者かの血を飲んだのか?)
普段から使える様子は今までなかった。
だとしたら、シエリアは血に対して耐性が低いのかもしれない。
そして、多くの血を与えられた。
(では、その血を吸い出せば……いいや。既に吸収した後だ。ほぼ、無駄だろう。)
思考を巡らすヴォルフラムにシエリアは向かった。
「あなたも、わるいひとなの?」
漸く言葉を発した声は酷く冷たい。
どこか、欠如しているような声だ。
「いいえ。いいかわるいかなんて、だれにもわからない。」
独り言のように言葉を紡いだ。
「シエン!」
クラウジアがヴォルフラムの前に立ち、シエリアを見た。
「正気になれ。御前は、自分が何してるか」
「わかってるよ。とても、わるいこと。」