シナリオ「はりぼて代表取締役」
親戚
皆、満腹でくつろいでいる。
鍋も食器も空っぽである。
静子がかたずけ始める。
電話が鳴る。3回コール。留守電。
奈良の義姉の声。
奈良姉「(電話)静子さん、奈良の北岡です。今、主人が亡くなりました。
明晩通夜。明後日告別式。草津の姉さんにはもう伝えてあります。
よろしく。(がちゃ)」
皆、顔を見合わせる。
また電話が鳴る。3回コール。留守電。
草津姉「(電話)草津の姉やけど」
静子、受話器を取る。
静子「ああ、姉さん。今留守電で聞いた」
3人大きく溜息をつく。
〇葬儀場、内、夜
棺の前で奈良の義姉と松平が話している。
奈良姉「葬式代も出えへんから主人が貸した110万円はよ返てください。
ここに借用書を私宛にきっちりと書いてハンコ押してください」
奈良姉、紙切れをテーブルに置く。
松平、書き出す。
松平「そやけど一括では無理ですよ。今破産しかけてますから」
奈良姉「なんやて、破産?」
松平「ええ、間もなく申し立てが受理されて裁判所から連絡が
行くと思いますけど」
奈良姉「それでも払うてもらえますな?」
松平「免責取れたら少しづつでも返していきます」
奈良姉「ほな、そう書いて署名してハンコ押しといてや」
松平、真剣に書いている。
松平のN「しかし貸主が死んでしもたら返済は・・・?免責がおりれば
返さんでもええというのが免責の主旨やのに・・・。これがなければ
ほんま、自殺するか、夜逃げするかしかあらへんのに・・・この
おばちゃん、免責の意味知らへんのとちゃうやろか?」
松平、真剣に書いている。
ちらと顔をあげて義姉を見る。
じろっと睨み返されて目を伏せる。
鍋も食器も空っぽである。
静子がかたずけ始める。
電話が鳴る。3回コール。留守電。
奈良の義姉の声。
奈良姉「(電話)静子さん、奈良の北岡です。今、主人が亡くなりました。
明晩通夜。明後日告別式。草津の姉さんにはもう伝えてあります。
よろしく。(がちゃ)」
皆、顔を見合わせる。
また電話が鳴る。3回コール。留守電。
草津姉「(電話)草津の姉やけど」
静子、受話器を取る。
静子「ああ、姉さん。今留守電で聞いた」
3人大きく溜息をつく。
〇葬儀場、内、夜
棺の前で奈良の義姉と松平が話している。
奈良姉「葬式代も出えへんから主人が貸した110万円はよ返てください。
ここに借用書を私宛にきっちりと書いてハンコ押してください」
奈良姉、紙切れをテーブルに置く。
松平、書き出す。
松平「そやけど一括では無理ですよ。今破産しかけてますから」
奈良姉「なんやて、破産?」
松平「ええ、間もなく申し立てが受理されて裁判所から連絡が
行くと思いますけど」
奈良姉「それでも払うてもらえますな?」
松平「免責取れたら少しづつでも返していきます」
奈良姉「ほな、そう書いて署名してハンコ押しといてや」
松平、真剣に書いている。
松平のN「しかし貸主が死んでしもたら返済は・・・?免責がおりれば
返さんでもええというのが免責の主旨やのに・・・。これがなければ
ほんま、自殺するか、夜逃げするかしかあらへんのに・・・この
おばちゃん、免責の意味知らへんのとちゃうやろか?」
松平、真剣に書いている。
ちらと顔をあげて義姉を見る。
じろっと睨み返されて目を伏せる。